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ついに行ってきました。2,3年振りかな。会社を出て携帯で「あと15分で一人で行きたいんんですが。」と言ったら快諾。6:20入店。何と先客は女性二人連れと一人の親父が2人の3組だけでガラガラでした。こんなこともあるんですねえ。一番右奥の打ち場前特等席です。

ビール中、黒牛(冷)、黒帯(常)、みる貝刺し身、穴子煮凝り。蕎麦味噌が酒のアテに付きます。穴子煮凝りも刺し身も旨い。客が立て込んで来ました。ほろ酔いになったところで蕎麦は当然夢八さんのひそみにならって温かい「けんちん蕎麦」です。注文してしばらくして女将に「温かいのですね。」と念を押されました。やがて出てきたのは大きな丼になみなみとしたけんちん蕎麦。女将がそれを置きながら「量が多いから伸びないうち蕎麦から召し上がって。次は小もりになされた方が・・・」、わー、食う前に来たか。これは枕詞かセレモニーのようですね。お言葉に従い、けんちんの具を掻き分けて蕎麦から頂きます。うー、旨いけど見る見る伸びてくる。何とか蕎麦をあらかた平らげ、次は具に取り掛かります。お汁を少し残しただけで完食。どーだ。

本当はかの有名な天麩羅を頂きたかったのですが、それだと6千円を超えそうで、一人で軽く蕎麦屋酒にしては無粋なのでやめました。まあ、意気地がなかっただけ、という見方も出来ますが。けんちん蕎麦の千円は断然お値打ち感がありますね。

グラスを洗ったり拭いたりするのが厨房のこちら側、というのが店の作りとしてはちょっとどうでしょうか。良いお店なんでしょうけど、値段と地の利を考えるとどうしてもいつもと言う訳にはいかないかなあ。歌舞伎好きにとっては猿楽町の地名には惹かれるのですが。
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by nakayanh | 2008-02-27 02:14 | 蕎麦
日曜にやっている蕎麦屋も有り難いですね。午前中ブラバンの個人練習の後、12時過ぎ入店しました。先客は二組。一組は奥のテーブル3人連れ、もう一組はカウンターの一人親父です。

私は一人なので手前の2人掛けテーブル奥に陣取り、ビール中、鳥わさ。最初はあさり煮を頼んだのですが時期的に未だとのことでした。お陰で女将と余分に会話出来てシヤワセ。例によって本を読みながら飲っていたのですが、件の3人組が只ならぬ雰囲気です。奥の江原風でっぷり親父が前の若いカップルに説教しつつ飲み食いしています。若い男女は息子とそのフィアンセか、あるいは使用人の親父と従業員2人でしょうか。親父がしきりにつまみを頼み、説教しいしい旨い旨いと唸っています。カップルは神妙そうでいて、男は時々反抗的でもあります。どんなに旨い料理でも、こんな親父と食ってちゃ旨くないだろうなあ。もり二つとかけを注文。かけ注文の女の子に親父が「通だねー。」、この場面では勿論安いのを頼むのが無難だな。

途中で格闘技系大男2人客が来て真ん中のテーブルに座りました。ビールと天せいろと天抜きと掻揚げともりを注文。私の頭の中は大混乱です。これは天せいろ2と掻揚げに約分できるんじゃないかなあ。馴染みだか知り合いだか、女将と色々話しています。格闘技系の一人だけがビールを飲んでいるのが不思議でしたが、女将との会話で判明、これが又面白い。「俺の息子、石川遼の後輩だよ。」「えー、息子さんですか。お友達かと思いました。柔道か何かされてるんですか。」「ゴルフだよ、その内石川遼を追い抜くよ。」、言いつつ酒を注文。女将さん偉い!どう見ても柔道だよね。ゴルフだともう少し絞り込んだ方が良さそうです。

私も燗酒と掻揚げ追加。客の様子を窺っている方が遥かに面白いので本を閉じます。奥の3人組は蕎麦を回し食い、どうも三者の関係が良く判りません。ビールやつまみを更に追加。親父は半ば酩酊状態でお勘定。何と3人で16000円余り。うわあ、凄い。この安いお店で昼間からこれだけ飲み食いとは。着物親父はフラフラしながら出て行きました。「大丈夫かなあ。」と僕が呟くと、見送っていた女将がにっこり。

3人が帰ると、今度は奥のカウンターの一人親父が女将にしきりに話し掛けています。うーむこいつもそれが目的だったか。いろんな客がいて、なかなか客商売も大変だなあ。静かにもりを味わって店を後にしました。
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by nakayanh | 2008-02-25 23:48 | 蕎麦
角川の新書版です。著者はご存知東北楽天イーグルス監督のノムさんです。

野村監督との付き合い(勿論向こうは私のことを知りませんが)は、実に50年にも及びます。彼が1957年に南海ホークス3年目でパリーグの本塁打王を取ってから、ずっと熱烈なファンでした。たまたまその本塁打王表彰の写真が出ているベースボールマガジンを、近所のお兄さんに見せてもらったのが、ファンになるきっかけでした。それ以来彼の選手時代(それから何と24年続きます)は、朝刊のスポーツ欄で彼の成績を見るのが、朝一番の日課でした。本塁打王9回、打点王7回、戦後初の三冠王、最多試合出場等等、現役時代十分楽しませてくれましたが、その後も解説や監督、奥さんの話題など退屈することがありません。なかなか効率の良い人のファンになったものです。どれ程熱烈なファンだったかと言うと、長男に野村克也の「也」の字を拝借した位です。

彼の著書も三冠王を取った年に書いた「運鈍根」という本以来、殆ど読んでいました。しかし一時期やや遠ざかっていた時期がありました。阪神の監督だった99~01あたりの頃でしょうか。マスコミを通じた自軍の選手批判のコメントばかりで、「良ければ自分の指導によるもの」悪ければ「選手が指導通りしないから」というような、唯我独尊的なところが鼻に付いたからです。恩師の鶴岡監督が亡くなった時、葬儀にも行かなかったのも残念でした。幾ら生前確執があっても、南海で育ててくれた恩人ですから、亡くなった時は礼を尽くすのが人間として必要だと思ったからです。

しかし、最近になって又注目し始めました。楽天の監督になってから、コメントがアク抜けして面白く、味があるのです。根っから野球が好きで仕事をしている雰囲気が伝わってきます。山崎を復活させ、マー君を一人リ立ちさせた手腕はやはり流石です。2年目の去年4位に浮上し今年はAクラスが期待できます。

前置きが長くなりましたが、そんな矢先、この本を店頭で見つけました。3年連続最下位に終わった阪神の監督時代を通して見た阪神と言うチームの総括です。歴史も人気もあるチームなのに何故弱いのか、めったに優勝しないのか、色々分析しているのがなかなか楽しめます。ヤクルトでは監督として成功したのに、阪神では全く駄目だったのは何故か、星野、岡田になって強くなったのか等、実に面白いです。前半部分は阪神の大阪、ジャイアンツの東京、楽天の東北、という地域比較文化論の様相も呈しています。現役の選手や監督、解説者をここまで書いてしまっていいのかなと少し思うくらい、ざっくばらんに書いています。
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by nakayanh | 2008-02-25 01:19 | 読書
先日の火曜日会社帰り、久々に神田猿楽町の「松翁」に行ってみました。戸を開けるとほぼ満員の熱気。奥の四人掛けテーブルは空いていますが箸をセットしてあるので、予約が入っているのでしょう。手前の2人掛けが一つ空いており、一人の花番の男性がそれを指差しかけたのですが、応対したもう一人の男性が、「電話された方ですか。」と聞くので「いいえ」と応えると、「15分云々・・」とのことなので、「それじゃあ。」とそのまま店を後にしました。「15分待て。」ということか「15分で客が来る。」という意味か不明でしたが、いずれにせよ当分無理そうなので諦めた次第。どうもここは縁がありません。店に入った時もきょとんとされて怯むのですが、断りっぷりもすまなさそうでもなく今ひとつで、あまり好きではありません。まあもう一度だけ電話してトライしてみるかなあ。

次に綾瀬「重吉」に行ってみましたが、ここは定休日。これは調べなかった私のせいなので仕方ありません。それにしてもついてない日です。真っ直ぐ帰るのも癪なので松戸の「関宿」あたりにするか迷いましたが、結局新松戸の「花兎」に行きました。久し振りです。

先客は3組ほど。私のような一人の親父もいます。ビール中、冷酒、モツ煮込み、板わさ、卵焼き、最後におかめ蕎麦。モツ煮込みはちょっと居酒屋っぽいですが、好きなんです。板わさも卵焼きも取り立てて特筆することはありませんが、酒が進みます。おかめは具が多くて楽しめました。ここは10:30までやっているので、飲み会帰りでちょっと飲み足りない時等、私にとってはなかなか重宝な地元の蕎麦屋です。客の出入りもなかなか頻繁でした。
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by nakayanh | 2008-02-24 01:08 | 蕎麦
日曜日、更科堀井で昼食の後、サントリーホールまで歩いて行きました。

ガーシュインの「ラプソディインブルー」を小曽根真のピアノでやり、その後ベルリオーズの幻想交響曲と言う、なかなか豪華なプログラムとあって、東京マラソンの日にも拘らず超満員でした。

小曽根真は一度だけライブを聴きましたが、現在の日本のジャズピアニスト中最高峰の一人だと思います。その彼がピアノとオーケストラのために書かれたジャジーな名曲を演奏するのですから、ジャズファン、クラシックファンの両方にとって興味深いことです。結果は確かに今まで聴いたラプソディ・・の中で最高でした。素晴らしいテクニックでの最後近くのソロは延々と続きましたが、一向に飽きさせることなく堪能させられました。指揮の大植英次氏も聞き惚れていたほどです。カーテンコールも鳴り止まず、アンコールのソロをやってくれました。

第二部は幻想交響曲、大好きな曲です。なかなか熱演でしたが、大植さんの指揮がケレン味があると言うか、オケに歌わせたいタイプで、異様にテンポが遅く、感情過多でやや割り切れない印象が残りました。元々粘着質の曲なので、もう少しさらりとやった方が印象深かったのではないかと思います。

小曽根真の演奏は確かに良かったのですが、これだけの人がわざわざくクラシック界で他流試合をする必要があるのかな、との疑問は残ります。テクニックに自信のあるジャズマンは、どうしてもクラシックの技術もあることを見せたくなるようで、結構演奏します。しかし、所詮はクラシックの専門家には勝てる訳もなく、ジャズとクラシックの虻蜂取らずの結果になりかねません。
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by nakayanh | 2008-02-21 01:27 | 音楽
中学高校時代の友人から昨夜電話があり、今日月曜の昼蕎麦屋に連れて行け、との要望でまつやに行きました。大阪在住の弁護士ですが、マラソン仲間でもあり、昨日の東京マラソンを走ったとのこと。

高一の春休みに2人で四国一週旅行をして以来の、もう40年来の友人です。11時半に小川町の出口で待ち合わせ、まつやまで徒歩5分、11:35入店、この時間だと客もまだ1/3の入りでした。もりを2枚ずつ。勿論酒はなし。

京都ハーフや沖縄の那覇フルマラソン等、何度か一緒に走りました。お互い出場していることを知らなくても、実力が似たようなものだと結構レース中に見つけられるものなのです。今回の東京フルは二次補欠で出場権を得たとのこと。確かな数字を覚えていませんが、走者2万3千人位の内、完走は22千人以上、途中棄権は700人程度で完走率90数パーセントだったとか。参加料1万円払ったからか、皆結構真面目に取り組んでいたようですね。友人は4:30くらいで完走したようです。
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by nakayanh | 2008-02-18 22:48 | 蕎麦
日曜昼、久々に行ってきました。1年振り以上でしょうか。2時からサントリーホールでのコンサート(大阪フィル、ジャズピアノの小曽根真がラプソディインブルーでソロピアノ、他に幻想交響曲等)に行くことにしていたので、その前に軽く蕎麦屋酒で昼食とした次第。

都心店は日曜日休みのところが多いのを、店の手前で思い出し、急に心配になりましたが、大丈夫でした。頼れるお店です。11:40頃入店、商店街の人通りは少ないのに店の中はほぼ満員でした。ビール中、お燗酒、卵焼き、鳥焼き、もり蕎麦。大女将でしょうか、年配の婦人が甲斐甲斐しく立ち働いていらっしゃいました。先客である隣席の年配女性2人組は鴨焼きで一杯やり、蕎麦を食べるところまでは好もしく拝見しておりましたが、蕎麦を食い終わっても延々と喋り続けていて、ちょっとがっかりでした。後から蕎麦を食べ終えた私は直ぐに席を立ちましたが、彼女らは話に夢中で帰る気配なし。店が立て込んでいて待っている客がいるのが判るのに、どうにも無粋というか興醒めなことです。気を取り直して、帰りには豆源で少し買ってから徒歩でサントリーホールに向いました。
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by nakayanh | 2008-02-17 23:26 | 蕎麦
昨土曜日に、長年憧れていた「「ほしの」に行って来ました。

マラソン仲間の鉄人フーさんご夫妻と我々夫婦の四人で、午後、小金井公園にある江戸東京たてもの館を見学した後伺いました。

西武新宿線田無駅からバスで10分程度、「ひばりが丘団地西口」下車、目の前にお店があります。6時で予約していましたが、やや早く5:50頃到着。看板に電気が入っておらず、入り口も鍵が掛かっていましたが、戸を叩いたら直ぐに入れてもらえました。昼夜とも完全予約制で、夜は2組しか取らないとのことなので、我々が今夜の初客です。中は奥が座敷、手前がテーブル席で30人近く入れそうですが、貸し切り状態。初め座敷に通されましたが、私の脚の都合でテーブル席に移らせて頂きました。もう一組は7時過ぎに来店しました。

蕎麦のから揚げをアテにハートランドビールで乾杯しているうちに、豪華なオードブルが出てきました。いつもは奥様一人で切り盛りしているそうですが、今日は娘さんが休日とかで手伝っていらっしゃいました。肝っ玉母さんに良く似た元気溌剌の娘さんです。

酒を頼むとお母さんが一升瓶を四、五本出して並べてくれました。その中から3種を先ずお猪口で試し飲み、皆が気に入った石川の「山田錦・五凛」を頂くこととしました。お母さん曰く『なかなか重い酒」とのことで、淡麗ではなく重厚感のある辛口です。

我々が予約していたのは3千円のコースですが、料理は美味しく、家庭料理並みに量がたっぷりです。特筆は巨大なブラックタイガー蝦の天麩羅。長さは30センチは楽にあるでしょう。切り身一つが芝海老4,5匹分位あります。伊勢海老より遥かに食べでがあり、しかも決して大味ではなくぷりぷりとして旨いです。これだけの大海老を仕入れられる問屋は限られているそうです。

蕎麦掻きの入ったきのこたっぷりの小鍋も美味しく、他にも塩辛その他の小鉢等で、酒も進むしお腹も一杯。8時を過ぎたあたりで、最後にお声掛けでせいろを頂きました。蕎麦はやや太めで素人っぽさが残りますが、味は良好です。

あれだけ飲み食いして一人5千円でお釣りが来ました。実に良心的なお店です。ご主人がやっておられた頃、名店の誉れ高いお店でしたが、急逝された後奥様が蕎麦打ちを独学で学んでお店を再開したそうです。たったお一人でこれだけ充実したものを出すのは、並大抵の努力では出来ないことでしょう。お店の休みは不定期、予約が入れば営業するのだそうで、要するに予約さえすればいつでも行けるのだから有り難いことです。遠いからそうそうは行けませんが、又是非訪れたいお店です。
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by nakayanh | 2008-02-17 06:42 | 蕎麦
金曜夜久々にゆっくり行ってきました。

6時過ぎ入店、出口脇の隙間風の席です。出口を背に店内が見渡せる絶好の位置ですが、流石に今日は隙間風で背中が寒かったです。ここを出口と知らない輩が結構入ってくるのでそれも寒さの要因です。入り口には最近ストーブがあるんですよね。

席に付いてv、ビール中と焼き鳥を頼んだところでカップルが相席になり、その会話が今日のメインの肴でした。会社の仲間のようですが、どちらも気があるらしく詰まらん話題に必要以上に盛り上がるのが可笑しくも切なくて、勝手にしなはれ状態でした。

男がそこそこ詳しいらしく、席に着くや「ビール大、頼んでおいた卵焼き、板わさ、焼き鳥、漬物、小田巻き蒸し、天抜き・・・」と立て続けに注文、度肝を抜かれました。こちらが熱燗とわさび芋を頼む頃、敵は更に湯葉わさびを追加しました。湯葉来れば湯葉についての一くさり。この男性のファッションはと見ると、紺ブレにオクスフォード地の青いボタンダウンシャツ、レジメンタイと典型的なトラッドです。私も40年近くトラッドしか着ないのですが、この手の男はどうも客観的に見るとステレオタイプのかったるい男が多いですね。きっと私もそうなのでしょう。

私が熱燗追加で、カップルはもり蕎麦。蕎麦を食べつつ蕎麦湯も頼み、「遅い」とつぶやきつつ蕎麦湯が来るなり立て続けに飲んで、私の鴨せいろが来る頃、1時間きっかりでハイテンションのまま出て行きました。酒は結局ビール大1本のみ。うーむ、教科書通りの味気ないこと。粋を意識するとその時点で粋でなくなる、と言うことでしょうか。粋なんかくそ食らえ。

今日も私のマドンナは不在。辞めちゃったのかなあ。カップルが去ってサラリーマン三人組が来たところで席を立ちました。まつやで学ぶ人間模様、ごちそうさまでした。
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by nakayanh | 2008-02-15 23:40 | 蕎麦
「文芸春秋」を長年購読している関係で、芥川賞作品は大体読んでいます。直木賞と違って芥川賞作品は必ず文芸春秋誌に全文掲載されます。だから単行本を買うより絶対お得だと思うんですが、単行本を買う人もいるのがちょっと不思議です。

今回の川上未映子さんの「乳と卵」を読みました。表現力と言うか文章力がある方で、まずまず退屈せず最後まで読み通せましたが、面白いか、共感するかと言われると??です。最近の中では面白い方ではありましたが、正直言って永らくこれは凄い、と思った記憶がありません。

金原ひとみの「蛇にピアス」や綿谷りさ「蹴りたい背中」、作者も題名も忘れましたが自動販売機の缶やボトルを入れ替えるバイトの人の話(伊藤たかみ 「八月の路上に捨てる」かな)、 青山七恵「 ひとり日和」等々(全部女性?)、どれも文章はそこそこ(自分の文章を棚に上げて、偉そうにすみません。プロ野球の選手のプレイをあげつらうのと一緒で、無責任な評論家、アナリストの立場での話です)なのですが、肝心の主人公にどうも共感できないのが、小説全体として面白くない最大の理由と思われます。何故共感できないかと言うと、どうも文章からイメージできる主人公がつまらない人(平たく言えば、一緒に酒を飲んで楽しいと思えない人、と言えましょうか)だからです。 そのつまらない人が、結構深々と思索する、どうもそこに違和感があります。これだけ考えられる人(それはその作家の考える思索レベルですから当然深いです)が、社会の底辺でこんな荒んだ生活をしているだろうか、という違和感でしょうか。職業の貴賎ではなく生き方、考え方の話です。

「乳と卵」は女性の生理(物理的なそれだけでなく)を扱っていて、生々しいですが、理科の実験観察のようで味気ないといえば味気ない、こんなことわざわざ赤裸々に書かなくても、という感じもします。観察と表現の細やかさは女性特有の素晴らしさ(しつこさ、ねちっこさの部分もあります)で、近年女性の芥川賞受賞が多いのもそこに理由がありそうです。でも、比較に無理がありますが、指一本触れない男女を描く漱石の小説の方が遥かにエロチックで情緒があり、共感できます。女性から見れば女性が描けておらず物足りないかもしれませんが。

句読点を何処に付けるかは、文章を書く上で重要なことだと思いますが、それは読み手が読み易いように打つのが目的の筈ですが、「乳と卵」はその面では滅茶苦茶です。そうすることでスタイルや雰囲気を出すと言う目的があるのでしょうが、それだと小説ではなく詩の世界ではないのでしょうか。主人公の考えを表現するところだから、句読点を何処に打つかも主人公の思考過程と思考レベルを表現する、というのも判らなくもないのですが、そうだとするとやはり主人公に魅力が無いということに落ち着いてしまいます。

若い女性だから人生経験が少ないのは当然で、それでこの文章力と言うのは確かに凄いといえば凄い。いろんな人生経験を積んで、想像力に磨きをかけて良い作家になって欲しいです。
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by nakayanh | 2008-02-15 01:25 | 読書