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カテゴリ:美術( 16 )

六本木の国立新美術館で開催されているエルミタージュ美術館展に行って
きました。16世紀のルネッサンス時代からバロック、ロココ、ロマン、
印象派、等を経て20世紀の前衛に至るまでのヨーロッパ絵画の推移を
約90点の絵画で俯瞰する企画です。日曜午前でしたがそれ程の混み様
ではありませんでした。同じ場所でセザンヌ展も開催されており、分散
したからでしょうか。セザンヌ展も入館のための行列はなく比較的余裕が
ありました。

確かに絵画の傾向の推移が良く判ってそれなりに面白いのですが、殆ど
一人一作品の展示なので、何となく物足りなさは感じました。一人の
画家でも当然歳と共に画風は変わっていきますから、それを追っていく
個人の作品展の方が面白いように感じました。

個々の作品ではルーベンスやヴァン・ダイク、ヘダ等の作品に魅力を
感じました。マティスの「赤い部屋」という大作が今回の見ものの一つだ
そうですが、色彩は美しいと思うものの正直あまり感動しませんでした。
20世紀に下るにつれて構図や色彩表現が多彩になっているのでしょうが、
技術的な表現能力は16~18世紀辺りの画家の方がずっと繊細で優れて
いるように、私には感じられました。要するにあまり絵が判っていないと
いうことなのでしょう。
by nakayanh | 2012-05-27 23:22 | 美術
連休明けの7日、六本木の新美術館で開催されている「セザンヌ展ー
パリとプロバンス」に行ってきました。朝10時の開館直後に着いた
ので、入館待ちの列もなくスムーズに入れました。館内も恐れていた
程の混雑はなく、まずまず落ち着いてよく観られました。

印象派近辺では、セザンヌはゴッホと並んで人気が高いと思われますが、
私にはゴッホは良く判る気がするものの、セザンヌは何処が良いのか全く
判らず、肩身の狭い思いをしていましたので、彼を理解する良い機会だと
思い、じっくり見て回りました。

何処が苦手かと言うと、静物画は好きなのですが、サントヴィクトワール
山等の風景画や人物画の良さが判らないのです。特に彼の風景画で
よく見かける色の塗残しが何の為か判らず、何か投げやりできっと短気で
飽きっぽい性格だったんだろうと思いました。セザンヌ好きの友人に
言わせるとあの描き過ぎない塗残しがセザンヌの魅力で、あれが判らない
とセザンヌは判らない、とのことです。

今回じっくり観たことで幾つかの発見がありました。塗残しのセザンヌの
画風は40歳(1879)頃に確立された様で、それまでは結構べったりと
塗り尽くす普通の画家であったこと。静物画はやはり素敵なのですが、
一見写実的に見えて実は全くそうではないこと:一つのテーブルにある
のに、リンゴやオレンジの光の当たる位置が異なり、あるべき影が
なかったりすること、要するに一つ一つの対象物を個々に捉え、それを
画の構図を壊さないように再構築しているように思えること。静物画の
ように実物大に近いものは描けるが、風景のような大きいものを小さな
スペースに描くことは不得手なのではないかということ。等です。
結果としてやはり私はセザンヌの静物画にしか感動できない、理解は
多少深まったと思うのですが、本当に好きになったとは言えないのです。
by nakayanh | 2012-05-09 08:20 | 美術
満開の桜と青空に誘われ、神奈川の美術館二つを梯子してきました。
最初は横須賀美術館。松戸の自宅からJR,地下鉄、京急、バスを
乗り継いで、2時間半余り、昼前に到着しました。観音崎燈台の手前、
東京湾を一望する素晴らしい景色の、モダンで明るい美術館です。
海抜10M位なので、津波には弱そうですが・・。出し物は「正岡子規
と美術」で、子規の絵や自作塑像の他、中村不折、下村為山、浅井
忠等同時代の画家の絵を多く展示しています。子規の絵にはプロの
上手さはないものの、優しく丁寧でユーモアがあって微笑ましく、
添えてある句や讃、文章と相俟って素晴らしい空間になっています。
併設されているレストランで海を見ながら昼食を摂りました。

その後、鎌倉まで戻って、物凄い人出の小町通を、人波を掻き分け
ながら数百メートル歩き、左に曲がったところにある鏑木清方記念
美術館へ行きました。小町通を曲がると嘘のように閑静な住宅街
です。大好きな日本画家ですが、記念美術館があるのを知ったのは
つい最近で、訪れたのは初めてです。清方の住居跡を改造した
美術館で如何にも瀟洒な建物でした。多くの収蔵品を色々趣向を
変えて展示しているようで、今日は「清方と舞台 第二期」という
テーマで、雑誌「歌舞伎」の挿絵や芝居絵を展示していました。
4月19日からは清方没後40年ということで「女性風俗と四季の風情」
という特別展が開催されるそうです。

行き帰りの車窓からは満開の桜が美しく、目の保養になりましたが、
交通機関だけで往復5時間以上はややきつかったです。
by nakayanh | 2012-04-08 01:03 | 美術
日曜日の今日、千葉市美術館まで行って観て来ました。抱一生誕250年記念展だそうです。
琳派の祖とされる宗達は堪らなく好きなのですが、光琳、抱一となると好きは好きなものの、
正直なところ心が揺さぶられると云うほどではありません。今回は日経新聞に入っていた招待券
応募のチラシに駄目元で応じて、招待券を貰ったので出掛けたものです。松戸は千葉県ですが、
千葉市は遠くて女房に断られ、一人で行ってきました。確かに遠いです。しかも京成の千葉中央駅
から徒歩約10分、千葉の文化レベルの低さが良く判ります。

開館の10時の直後に到着しましたが、それでも客はそこそこ来ていました。年配の夫婦連れが
中心です。展示は2フロアたっぷりで200点以上あったでしょうか。凄いボリュームで疲れはて、
途中2度途中の椅子にへたり込むほどでした。それだけ内容的には充実していたと思います。

今日初めて知りましたが、抱一は名門譜代大名姫路藩酒井雅楽頭家と云う凄い家柄に生まれ、
二男であったため、好きな書画や俳諧に没頭し、光琳等の琳派に傾倒して「江戸琳派」を確立
しました。鈴木其一や池田孤邨は抱一の弟子です。流石に画風は上品で洒脱、大らかで屈託のない
優しい人柄と育ちの良さが滲み出た良い絵が多くありました。反面、魂の叫びを感じるような感動
や、目を見張るような斬新さは感じませんでした。良くも悪くも江戸の粋を感じる作品群です。

美術館の場所は不便ですが、抱一に限らず一門の絵をこれだけ集めたのは大した努力だと感心
しました。千葉は11/13までで、来年4/10からは京都岡崎の細見美術館に巡回するそうです。
公式カタログは2,800円と余りに高価で、買う勇気が出ませんでした。
by nakayanh | 2011-10-23 21:49 | 美術
10月初めから国立新美術館でやっていた没後120年ゴッホ展にようやく行けました。
12月上旬まで京都検定の受験生だったため行けなかったものです。最終12月20日の二日前、
最後の土日とあって大混雑を心配しましたが、12時過ぎに着き意外にすんなり入れました。
とは言っても勿論中は結構な人出、特に入口付近のゴッホの絵は黒山の人だかりでしたが、
進むに連れてまあそこそこ見ることが出来ました。

ゴッホの作品は油彩は勿論、リトグラフや水彩、チョークやインク絵等、ファン・ゴッホ
美術館とクレナー・ミュラー美術館所蔵の68点も展示されていて堪能しました。ゴーギャンや
モネ、シスレー、ピサロ等同時代の画家の絵も結構ありましたが、やはり私にはゴッホが
圧倒的に素晴らしく見えました。何というか命がけで描いているゴッホの絵の迫力の前には
他の画家の絵が霞んでしまうのです。

でも、ゴッホも1890年7月に37歳で亡くなる3年前の夏までは、結構普通の絵を描いて
いるんですね。普通の、とは写実的だったり、モネかと思うような印象派風だったり、
という意味です。87年6,7月の「ヒバリ飛び立つ麦畑」や9,10月の「マルメロ・レモン、
梨、葡萄」、有名な「灰色のフェルト帽の自画像」辺りからあの観る人の魂を揺さぶる
ゴッホのタッチになってきます。面白いのは、鉛筆やペンで描いた素描もちゃんとゴッホの
厚い絵の具を彷彿とさせるタッチになっていることです。自殺する直前の作「曇り空の下の
積み藁」の不吉な美しさ、その3か月前の「草むらの中の幹」の煌めく美しさ、天才としか
言いようがありません。

嬉しかったのは大好きなギュスターヴ・カイユボットの作品が一つ展示してあったことです。
ファン・ゴッホ美術館蔵の「バルコニー越しの眺め」ですが、正直なところ彼の絵としては
失敗作でした。

観客が少なそうな最終日20日に今一度観に行きたい誘惑にかられる素晴らしい展覧会でした。
by nakayanh | 2010-12-18 17:32 | 美術
日曜朝、新聞の文化欄を見ていたらオルセー美術館展が今日(8/16)までとあったので、
慌ててe+でチケットを申し込んで午後行ってきました。

9月までに行けばいいやと思っていたので焦りました。前日、夏休みで長蛇の列と
ニュースで言っていたので、2時間は並ぶ覚悟で行きましたが、意外にそれ程でもなく、
50分待ちとのこと、その列も順調に進んで結局30分で入館できました。最終日は
狙い目かも知れません。

最終第8回の印象派展が開かれた1886年とその後のポスト印象派の絵が100点余り、
なかなか充実していました。相変わらず好きなのはゴッホや室内画のセザンヌ、
アンリ・ルソー等ですが、フェリックス・ヴァロットンの「ボールで遊ぶ子供のいる公園」、
「化粧台の前のミシア」の大胆な光と影のコントラスト、特に白の使い方の鮮やかさに
感動しました。

スーラ等の点描画もかなりありましたが、御苦労さまとは思うものの、何か抑揚のない
パステル画、暴言すれば風呂屋のタイル絵のようでやはり感動はしませんでした。
大好きなギュスターヴ・カイユボットの絵はありませんでした。

会場内は混雑しているものの、少し待てばどの絵も間近で見ることが出来て良かったです。
9月以降はゴッホ展、上村松園展等が予定され、これらも見に行くつもりです。
by nakayanh | 2010-08-16 00:17 | 美術
久々に休暇を取り、猛暑大暑の中、日本橋の三井記念美術館に行ってきました。

10時半頃入館、やや地味な展覧会且つ平日なので、入場者はそれほど多くはありません
でしたが、それでもやはり年輩の方が結構いらっしゃいました。女性の割合が2/3以上
でしょうか。

10年位前新潟マラソンを走りに行き、レース前日夕方市内をジョギングで調整中、
たまたま見つけた「會津八一記念館」にフラフラと衝動入りしたところ、會津八一の
歌と書の見事さに立ち尽くしました。名前も聞いたことのなかった人で、全くの偶然の
出会いでしたが、それ以来のファンです。奈良を再発見したとも言える人で、平城京遷都
1300年の今年、この企画は有難く、是非行ってみたいと思っていました。
本当は東京の前に開催された新潟での展覧会に行きたかったのですが、なかなか暇も
金もなく、東京で我慢した次第。

美術館自体がビルの1フロアで小振りの為もあってか、仏像は割合小さ目のものが
中心でしたが、殆どが重文又は国宝で見ごたえがありました。国宝の観音菩薩立像
(夢違観音)や釈迦如来坐像も良かったですが、重文の五劫思惟阿弥陀如来座像の
凄いボリュームの螺髪の髪型と御顔が可愛らしく、人気の的でした。

會津八一の書も展示されてはいるのですが、やや少なく目立たない陳列の仕方で、
八一を知らない入場者がどれ程興味を持ったかは少し疑問で、ファンとしては
ちょっぴり残念な気持ちです。9/20まで開催していますので、出来ればもう一度
行きたいところです。11/20から1ヶ月間は奈良で開催されます。
by nakayanh | 2010-07-23 21:38 | 美術
お詫び:月曜夜帰宅後書き始めましたが、酔いと疲れで途中で寝込んで
しまったようです。 この三連休、関西に行っていました。
メインは中日の21日(日)の中高還暦記念同期会ですが、その前後も充実した
3日間でした。

同期会以外で一番楽しみだったのは、神戸の県立美術館で開催中の「小倉遊亀」展
でした。遊亀って女性なのに「ゆうき」って変だなあと思っていましたが、「ゆき」と
読むんですね。納得。

1895年生れ、2000年没。何と105歳で亡くなられましたが、その間の作品の
凄さには目を見張らされます。日本画家で植物や人物画、静物画等色んなジャンルを
描いていますが、私は特に静物画に圧倒されました。

何というか、見事な光の表現(勿論影の表現もです)が素晴らしいのですが、それと共に
単なる写実ではなく、デフォルメされたデザイン的な感覚も表現されていて、強い親近感を
覚えたのですが、後で作品図録を読んでいるとコメントの中に遊亀さんが影響を
受けた画家として、「宗達」を挙げていました。快哉!誠にわが意を得たりです。
彼女の絵は確かに宗達に通じる何かがあります。ゴッホも好きだそうで、明らかに
私の好みとかなりの共通点があるようです。明るさ、対象物への優しい眼差し、
色彩感覚、デザイン性(これはゴッホには感じないものです)。

素晴らしい目の保養でした。東京でやればもう一度行きたいものです。
by nakayanh | 2010-03-23 00:08 | 美術
小学生の頃一時漫画家になりたいと思っていました。
それ位絵を描くことは好きだったので、高三の時授業で音楽か美術のどちらかしか
選択できない時、美術を選択しました。部活がブラバンでしたので、音楽を選ぶのが
普通ですが、私の場合、音楽は部活で出来るので、絵を描ける美術を選んだ訳です。
音楽の方が良い点を取れて全学科の平均点を僅かながら上げられるのですが、
それにも拘らず美術を選んだ訳で、なかなか我ながら勇気のある?決断でした。

高校卒業以来、殆ど絵を描いたことはありませんが、美術展には結構足繁く行きます。
自分である程度「判る」と思うのは印象派位のものですが、それ以外の展覧会も
そこそこ行ってはいます。

好きな画家はゴッホが断然一番ですが、他にも俵屋宗達(デザインの美しさ、構図の上手さ
そして温かさ)や棟方志功(ゴッホに通じる熱情)、若冲(動植物を見る目の優しさ、温かさ)、
カイユボット(印象派の頃の人であまり有名ではありませんが、凄い絵を描きます。
絵から匂いや空気まで伝わってきます。印象派展等があるとたまに1枚展示されています)、
蕪村(俳画の得も言われぬほのぼのとした楽しさ素敵)、小磯良平(セザンヌを上回る
デッサン力)、等々。今神戸で展覧会をやっている小倉遊亀も凄い絵を描きますね。
新聞に出ていた「明菓」の光の表現の素晴らしいこと。

会社の私の後輩が絵が好きで一日1デッサンを実行していることにも刺激を受け、
昨年小さな画帳とコンパクトな水彩絵具セットを買って気が向いた時描き始めました。
まだ数枚ですが。左の椿は昨日書いたものです(年号を間違えました)。

退職して暇になれば水彩だけでなく油絵もやってみたいと思っています。
by nakayanh | 2010-03-08 00:39 | 美術
カテゴリーとタイトルが繋がりませんが、NHK教育テレビ水曜夜10:25からの
番組「こだわり人物伝」と云うので1月は小津安二郎をやっていました。
立川志らくという落語家が案内する4回ものでした。そのうち1回見逃したので、
本屋でテキストを買って読みました。

志らくの落語を聞いたことはありませんが、小津の映画に詳しいのだから多分
見どころのある噺家なのでしょう。番組の副題は「小津安二郎は落語だ!」というもので、
こじ付けですが、まあ確かに共通点はあります。志ん生や文楽の落語と一緒で、
何度見ても聴いても楽しく、新たな発見があるという点が最大の共通点でしょう。

小津の映画では「東京物語」が圧倒的に有名ですが、私にはそれ程でもありません。
「晩春」「麦秋」「東京物語」どれも甲乙付け難く、強いて言えば「麦秋」です。
それよりカラー三部作の「彼岸花」「秋日和」「秋刀魚の味」の方が好きです。

どれも娘を嫁にやる父親を、昔の同級生達との同窓会と絡めて描くという内容で、
話が似たり寄ったりですが、どれも似ているようで違う。その端々に見られる
ユーモアや明るい画面の美しさ、会話の楽しさは何度見ても飽きません。

その小津が脚本を野田高梧と信州の旅館に泊まり込んで共同執筆する時に、
毎晩飲んだのが諏訪大津屋本舗酒蔵の「ダイヤ菊」という日本酒です。
それを飲みたくて先日取り寄せ便で注文、3本届いたので昨日から飲んでいます。

新橋に「ダイヤ菊」を飲ませる居酒屋があり、一度行きましたが、ちょっと
いまいちだったかな。それより銀座の裏通り、泰明庵の前の通り等、小津の
映画の一場面を彷彿させてくれ大好きです。
by nakayanh | 2010-02-10 23:14 | 美術