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中村俊輔「察知力」

5月に幻冬舎新書から出た、今を時めくサッカー日本代表のMF中村俊輔の著作です。なかなか面白くて一気に読みました。

一言で言って真面目を絵に描いたような人物で、人生の全てをサッカーに捧げている、という印象です。だからといって決してサッカー馬鹿ではありません。常に先を読み、上手くなるには何をすれば良いかを考え抜いている好青年です。常に上を求めた結果日本に飽き足らず、欧州に行き、イタリアの片田舎にあるセリエAのチーム・レッジーナで修行し、更にスコットランドの名門セルティックに移って大活躍、欧州リーグでMVPを受賞する等、最早中田英寿を超えたといって良いでしょう。

アゲインストの環境や状況も決してマイナス思考せず、何故その状態にあるのかを考え、それを無駄にしないよう考え、行動する、大変な努力家です。しかもサッカーが好きで堪らない、これは上手くなる筈ですが、これだけ徹するのは誰にでも出来ることではありません。

サッカーについての彼の考えを述べた本ですが、色々な示唆に富んだ人生の指南書と言っても良い本です。サッカーを通じて彼が学んだことは、全ての人の人生に役立つ普遍的なs真理でもあります。将来彼が目指す良いサッカー指導者になることも間違いないでしょう。

強いて難点を挙げるとすれば、余りに優等生というか、ある意味では八方美人で、冷遇した監督(例えばトルシェ)等の悪口一言すら述べておらず、それもバネにして成長したことが書かれています。将来のことも考えた大人の対応ではありますが、全く敵を作らないというのは、真の味方得られない、というリスクも孕んでいる様にも思います。
by nakayanh | 2008-07-07 01:24 | 読書