続・平岩弓枝「新・御宿かわせみ」

新・御宿かわせみでは、何と、これまで主人公だった神林東吾と畝源三郎が2人ともいなくなっているのです。東吾は幕末戊辰戦争の後、榎本武揚の軍隊を函館に連れて行く軍艦を操縦していて嵐に会い行方不明、源三郎は事件探索の途中非業の死。作家の独創性、思い切りの良さには驚かされました。2人ばかりではなく、医師麻生宗太郎の妻七重、息子小太郎、七重の父までもが維新直後のどさくさに強盗殺人で惨殺されています。畝源三郎はその事件探索の途中で殺されたものです。

従って、新シリーズでは主人公は神林家(本家)の長男(実は東吾の実子)麻太郎と、源三郎の長男源太郎の捕物がメインです。それにかわせみの女将おるい、娘千春、麻生宗太郎の娘花世等が絡みます。麻太郎はイギリス留学帰りで外国人居留地で働く医師、源太郎は私立探偵です。麻太郎、源太郎、花世、千春の青春物語に変わっているともいえるかも知れません。

しかし、前シリーズであれほど皆屈託なく生きていたのに、新シリーズでは登場人物全員が近い親族を非業の死で亡くし、屈託というか心の傷を持って生きています。源太郎に至っては実母とも折り合い悪く一人住まいで、見かねた長助(源太郎の父源三郎の配下の岡引)が通いで面倒を見ています。

舞台はやはり宿屋のかわせみが中心です。女将のおるいや女中頭お吉、番頭嘉助は健在です。若い世代に上手く代替わりさせたともいえますが、皆が屈託を持っている点が何となく何があっても心から喜べない感じで、前シリーズとは似ているようで趣は異なります。これからどうなっていくのか楽しみではあります。
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by nakayanh | 2008-03-13 02:53 | 読書