新橋演舞場「五月花形歌舞伎」

久々に歌舞伎を観てきました。今年初めてでしょうか。3月のブラバン
演奏会、4月の研究発表会等で気忙しく、遠ざかっていました。昼の部、
特に観たい演目があった訳ではありませんが、急に歌舞伎を観たくなり、
チケットを取った次第です。

「西郷と豚姫」獅童の西郷と翫雀の豚姫。翫雀が好演。それ程良い作品
とも思えません。一幕で変化もなく退屈。「紅葉狩」義太夫、常磐津、
長唄連中揃い踏みの豪華舞踏劇ですが、長唄のやんごとない音色で
かなり寝てしまいました。高麗蔵の局役が意外に美人でした。
最後の「女殺油地獄」近松の作品は流石です。実家を勘当された油屋の
やくざな若旦那が、知り合いの油屋の内儀に借金を頼んで断られ、切羽
詰って内儀を殺すという、身勝手で単純、理不尽な内容ですが、現代の
若者の無差別殺人や危険運転致死罪と同じように突発的な殺人で、
我々がいつ遭遇するかもしれないリスクと共通するように思います。
伊藤仁斎は「仁とは「愛だ」と看破したのですが、良心のかけら(四端の
心)も備わっていない無分別な者になまじな愛情を掛けると却って徒に
なる、ということかも知れません。愛之助の与兵衛、福助のお吉共熱演
でしたが、与兵衛の両親役である歌六の徳兵衛、秀太郎のおさわが
親の情をしみじみと表現して秀逸でした。こんな親から与兵衛のような
馬鹿息子が育つのだから、子供の躾も教育もできない親が多い現代では
与兵衛のような若者は掃いて捨てる程いることでしょう。危険な世の中に
なったものです。

ウイークデイ昼間で、出演者もやや地味目だったためか、空席が少し
目立ちました。
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by nakayanh | 2012-05-18 15:01