市川猿之助襲名

先週市川亀次郎の四代目猿之助襲名と、香川照之の九代目市川中車襲名が公表されました。
亀次郎は人気実力とも十分で、伯父である三代目猿之助を継ぐのは自然な流れだと思いますが、
香川照之は意外でした。

勿論元々は猿之助の長男ですから、本来なら猿之助を継いで然るべきなのでしょうが、これまで
歌舞伎と関係なく全くの実力で俳優として名を成してきた人なので、今更歌舞伎界に執着する
とは思えませんでした。でも、襲名発表記者会見の様子では歌舞伎界にずっと思いを抱いていた
ようで、昭和46年に途絶えたままの中車を継ぐのはとても良いことだと思います。先代の中車は
子供の頃テレビでしか見た記憶しかありませんが、白髪の渋い役者でした。香川がどれだけ
歌舞伎の伝統芸を身に就けているのか知りませんが、新作歌舞伎や人情物なら直ぐにでも出来る
でしょうし、あれだけの演技力ですから伝統的な作品もいずれは出来るようになるのは間違い
ありません。歌舞伎界の活性化には大いに期待できる人材で、松竹もなかなか味なことをやる
ものです。

亀次郎は立ち役から女方までこなせる、器用で幅広い芸風で華もありますから、新しい猿之助を
見せてくれそうでこれも楽しみです。先代の猿之助は伝統的な格式や序列を重んじる世界に嫌気
したのか、独自のケレン味の強い歌舞伎で一世を風靡しましたが、馴染めない人も多く、私は
一度も見たことはありません。でも亀次郎ならそこは上手くバランスを取れそうで期待出来ます。
早速今月小栗判官の通しを観に行く予定です。亀次郎がやるのなら観たいと思ってチケットを
買ったのですが、グッドタイミングと言えそうです。

相撲や落語と違って世襲制の歌舞伎が意外に上手く行っているのは、血筋だけではなく実力も
見ながら襲名させているからで、その為には血筋の子を幅広に小さい時から育てていく必要が
あります。名優の親が早く亡くなると、子供は結構苦労するようです。今の団十郎がそうで、
その経験が却って息子を甘やかす結果になったのではないかと思っています。富十郎の遺児
鷹之資は吉右衛門が面倒を観てくれているようで安心ですが、私が今心配しているのは獅童の
子息です。別れた前妻の女優が気の強い人で、獅童に会わせず育てているのだと思いますが、
歌舞伎界からすると不幸なことです。歌舞伎界に嫁ぐ人として必要なそれなりの覚悟を、持ち
合わせていなかったようなのが残念です。嫁の覚悟の欠如については、歌舞伎界以上に深刻な
男系世襲制の旧家の例もあるようです。
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by nakayanh | 2011-10-04 00:21 | 歌舞伎