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本との出会い

5年位探していた本を遂に見つけました。原田治「僕の美術帖」みすず書房刊です。

5年前、東京に帰る新幹線までの空き時間に立寄った新大阪駅構内の本屋で、たまたま手に取った
本がそれでした。その中に俵屋宗達の「舞楽図」についての一文があったのですが、これが私の
感じていた絵の感想と全く同じで吃驚しました。是非買いたいと思ったのですが、全く知らない
著者で普通の単行本で2500円もしたため躊躇してしまい、新幹線の時間も迫っていたことも
あって、「新刊書で何処にもあるだろうから、東京に帰ってから買うかどうかゆっくり考えよう。」
と思い直してその場は去りました。

ところがその後この本が全く見つからなかったのです。勿論著者の名も覚えていなかったし、本の
名も知らず、ただ「洒落た黄色い装丁の美術関係の本」と言うだけの記憶で調べようもなかった
のです。本屋に行ったときはしょっちゅうその本らしきものを探していましたが、どうしても
見つからないまま5年が過ぎました。それが先週遂に見つかったのです!最近改装された上野駅の
駅中の本屋の隣に洒落た文具屋があり、その店内のディスプレイにこの本が置かれていたのです。
勿論それは売り物ではないので、本と著者名をしっかりメモして帰りました。

それでも隠居の身にはやや高価過ぎると思い、アマゾンで調べて古書を半額ほどで注文し、今週初
それが届きました。この本では十数名の画家が採り上げられていますが、殆ど知らない人で、私が
好きな画家と言えば宗達以外では鏑木清方だけです。まだ読みかけですが、「美意識の源流」と
題する章では、日本固有の美の原点として日本の縄文文化の素晴らしさを述べていて、なかなか
興味深いです。著者の原田氏は著名なイラストレーターであるらしく、ミスタードーナッツの
可愛い女の子のロゴ等は氏の作品だそうです。オサムグッズというのも有名なようです。

清方については宗達ほど私の感覚と一緒ではありませんでしたが、宗達は改めて読み返してみて
やはり私の印象と略同じで、五年前と変わりませんでした。ということは、氏が好きな他の画家も
私の感覚に合う人がいる可能性が強く、これから少しずつチェックして行くのが楽しみです。
今まで全く気に留めていなかった縄文文化も、よく見ていく必要があると思っています。それに
しても、諦めずに探し続ければ、いつかは見つかるもので、久々に長年の胸のつかえが下りる
出来事でした。
by nakayanh | 2011-08-06 00:04 | 読書