万城目学「鴨川ホルモー」

角川文庫版で読みました。恥ずかしながらつい最近まで作者の苗字を「まんじょうめ」と読んで
いました。「リンゴの歌」や「旅の夜風」で有名な、歌謡曲の作曲家万城目正さんと言う方がいた
からです。正しくは「まきめ」と読むそうです。ホルモーなんて怪しげな題名でとても読む気は
しなかったのですが、何かのきっかけで京都の地名が沢山出てくる様な事を読んだのと、著者が
TVや雑誌の対談に出ていて、性格が少し暗そうだけど頭も良さそうだし真面目そうなので読んで
みることにしたものです。

内容は、京都の4大学の学生が手下の小さな鬼達(普通の人には見えません)を使って「ホルモー」
という競技をリーグ戦で闘うと言う、実に馬鹿馬鹿しいというか荒唐無稽な話なのですが、それは
表面のストーリーで本質は青春小説と言うか恋愛小説です。ホルモーに関連して四神相応の地
平安京に関る知識がいろいろ出て来て、結構京都についての勉強になります。登場人物も安倍
(清明)や早良(親王)、高村(小野篁)、菅原(道真)等、京都好きには馴染みの名前を使っています。

空想の世界と言うよりテレビゲームで育ったバーチャル世代の所産と言えそうです。しかし本質は
前述の通りまともで健康な青春恋愛小説で、読み易く面白いです。最近の芥川賞作品より余程
面白く、文章も上手い作者だと思います。直木賞の価値は十分あるでしょう。結論をオカルト的な
世界で誤魔化してしまう村上春樹氏より、手段に使うだけの万城目氏の方が私には潔く感じられ、
大袈裟に言えば、いずれ漱石並みに人間の本質を描いてくれる可能性も秘めているようにも思い
ます。なお、原発反対の姿勢を示した村上さんの先日の受賞スピーチは全く同感でした。
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by nakayanh | 2011-06-18 09:11 | 読書