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最近読んだ本

三浦友良「やめないよ」新潮新書
 43歳でなお現役サッカー選手を続けている著者が、2006年から2010年の約5年間日経新聞
に隔週で書いていたコラム「サッカー人として」を纏めた本です。日経のコラムで読んでいて、
サッカー人としてだけでなく人間としての考え方に共鳴でき、毎回楽しみに詠んでいました。
去年の10月以降日経購読を止めたので、最後の方は初めて読みましたが、それ以外は2度目。
忘れていることも多く、読み返して再度共感し、著者の人間的な成長を頼もしく思いました。
何より好きなサッカーで現役を続けるために、並々ならぬ努力をしている点に頭が下がります。
嘗てのストライカーとしての奔放なイメージと異なり、どのポジションでもその役割を弁え、
その上で自分を生かそうと前向きに取り組む姿勢は素晴らしいものです。文章力も簡潔にして
言いたいメッセージをしっかり持っています。スポーツ選手でこれだけの文章が書け、しかも
確固たるメッセージを持っているのは、野球の豊田泰光さん以来ではないでしょうか。

鴨長明「方丈記」
 昨年秋、京都検定の勉強中に過去問の中で出てきた「方丈記」の文章が美しくて、試験が
終わったら読もうと思っていました。下鴨神社の摂社河合神社の禰宜の家系に生まれたものの、
禰宜にはなれず和歌の道も開けず、失意から世を拗ねて出家し、方丈に籠ったのが元々のようで、
それなりに野心があった人のようですが、その野心も枯れた60歳頃に書いたこの本が古典と
なって八百年も読み継がれるのだから、人の値打ちは判らないものです。

若原正巳「黒人はなぜ足が速いのか」新潮選書
 私の素朴な疑問にぴったり答えてくれそうな本の題名で、店頭で見つけて衝動買いしました。
でもこれは日本人には判り難い、なかなか微妙な問題を内抱しているようです。これを明らかに
することは、どうしても人種差別に繋がりかねない側面を持っているからです。結論から言えば
僅かな部分の遺伝子の違いが関係しており、それは環境的なものに影響されるようです。だから
アフリカ人でも西アフリカ出身は短距離に強く、東アフリカ出身は長距離に強いのだそうです。
勿論遺伝子だけで全てが決まる訳ではないし、日本人でもそれに似た遺伝子の人もいるし、
後天的な環境や本人の努力が噛み合えば良い記録を出せる可能性はあるでしょうから、諦める
必要は全くありません。
by nakayanh | 2011-01-21 21:01 | 読書