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ゴッホ展

10月初めから国立新美術館でやっていた没後120年ゴッホ展にようやく行けました。
12月上旬まで京都検定の受験生だったため行けなかったものです。最終12月20日の二日前、
最後の土日とあって大混雑を心配しましたが、12時過ぎに着き意外にすんなり入れました。
とは言っても勿論中は結構な人出、特に入口付近のゴッホの絵は黒山の人だかりでしたが、
進むに連れてまあそこそこ見ることが出来ました。

ゴッホの作品は油彩は勿論、リトグラフや水彩、チョークやインク絵等、ファン・ゴッホ
美術館とクレナー・ミュラー美術館所蔵の68点も展示されていて堪能しました。ゴーギャンや
モネ、シスレー、ピサロ等同時代の画家の絵も結構ありましたが、やはり私にはゴッホが
圧倒的に素晴らしく見えました。何というか命がけで描いているゴッホの絵の迫力の前には
他の画家の絵が霞んでしまうのです。

でも、ゴッホも1890年7月に37歳で亡くなる3年前の夏までは、結構普通の絵を描いて
いるんですね。普通の、とは写実的だったり、モネかと思うような印象派風だったり、
という意味です。87年6,7月の「ヒバリ飛び立つ麦畑」や9,10月の「マルメロ・レモン、
梨、葡萄」、有名な「灰色のフェルト帽の自画像」辺りからあの観る人の魂を揺さぶる
ゴッホのタッチになってきます。面白いのは、鉛筆やペンで描いた素描もちゃんとゴッホの
厚い絵の具を彷彿とさせるタッチになっていることです。自殺する直前の作「曇り空の下の
積み藁」の不吉な美しさ、その3か月前の「草むらの中の幹」の煌めく美しさ、天才としか
言いようがありません。

嬉しかったのは大好きなギュスターヴ・カイユボットの作品が一つ展示してあったことです。
ファン・ゴッホ美術館蔵の「バルコニー越しの眺め」ですが、正直なところ彼の絵としては
失敗作でした。

観客が少なそうな最終日20日に今一度観に行きたい誘惑にかられる素晴らしい展覧会でした。
by nakayanh | 2010-12-18 17:32 | 美術