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ランナーの本音

12/3の日経朝刊のランニング特集の中で、編集委員の吉田誠一さんが
「マラソンの前3か月の準備期間の楽しさ」について書いておられました。

この人は2か月前に私が「発見」した人です。「フットボールの熱源」という
日経のコラムで日本のサッカー解説者のいい加減さを指摘していて、
同感したのですが、この方は市民ランナーでもあって、先日のつくばフルマラソン
を走りました。普段半信半疑だったカーボローディングを今回真面目にやって走ったら、
自己ベストに近い記録が出たそうで、「フルマラソンはレースまでの3か月をトータルで
楽しむスポーツだ。レースそのものは物語の最終章にすぎない。」と結んでいます。

レース前の重要性、その楽しさは確かにその通りだと思います。しかし、「レースが
物語の最終章にすぎない」というのはレースそのものの意義をあまりに小さく
位置付けており、いささか納得できませんでした。レース前3か月の練習の成果と
その日の気候、体調、等を総合してその日42.195Kを走り切れる「持続可能な
最速スピード」を想定し、その想定通りに走り、そのの想定が正しかったか検証する、
というレースでの作業は、単なる物語の最終章どころではなく、3か月の内の
数時間とはいえ、その重さ、大きさからいうと半分以上の意味を持つと思います。

大河ドラマの最終回で主人公が死ぬところや死後の後日談のようなものではなく、
強いて言えば推理小説の最終章のように、それまでのストーリーに隠されていた
伏線が全て解き明かされ、種明かしをされるようなものです。

マラソンレースというのは冷静な分析力・推理力と、その分析力・推理力によって
得た結論通りに実行する実行力・勇気が必要で、極めて知的なゲームです。
何故勇気が要るかというと、42.195K持続する最速のスピードというのは
レースの前半は遅く感じられ、どうしても後半楽をするために貯金をしようとして、
オーバーペースとなり勝ちなのです。その結果は必ず後半30K過ぎに、
失速という結果をもたらします。前半の貯金はあっという間に使い果たします。
多くのランナーが何度も同じ失敗を繰り返します。イーブンペースの大切さ、
持続可能なスピードの大切さは、意外に理解されません。これに気付き
それを守れた人が真の勇者であり、勝者となります。エリートランナーでも
市民ランナーでも全く同じです。その人の会心のレース、ベストのレースは
必ずと言って良いほどイーブンペースか後半の方が少し早い位のレースです。
by nakayanh | 2009-12-05 01:23 | スポーツ