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森繁久彌さん逝去

偉大なる喜劇人森繁久彌さんが亡くなりました。10年来殆ど表舞台には
出て来ておらず、96歳だったそうですから大往生ですが、不世出の
喜劇人が亡くなったという印象です。

古舘さんのニュース番組の解説者が「喜劇俳優としての森繁さんを知らない。」と
言っていたり、ニュースでも「『知床旅情』で歌手デビュー」なんてとぼけたことを
言っていて唖然としますが、私も含めてそれだけ古い方だということですね。
小沢昭一さんの新聞でのコメントが最も的を射ているという気がしました。

何といっても映画の「社長シリーズ」が私にとっては最高の作品です。
国民的作品ともいえる「寅さん」より喜劇として優れていると思います。
何というか、より大人の知的なユーモアが満ち溢れているという印象です。

森繁の社長、堅物の総務部長の加東大介、宴会好きの営業部長三木のり平、
生真面目秘書の小林圭樹、怪しげな外国人バイヤーのフランキー堺、
社長夫人久慈あさみ、社長の愛人淡路恵子、秘書の恋人団令子、等々が
繰り出す笑いは、子供心に大人の世界の楽しさが垣間見えて恰好良く、
早く大人になりたいと思ったものでした。現実のサラリーマン社会は勿論
それ程楽しいものではありませんでしたが。

クレイジーキャッツがドリフになり、欽ちゃんになって笑いが幼児化したように、
映画でも「社長物」が「寅さん」になり、「釣りバカ」になって見るに堪えなって
しまいました。そして今は大人の鑑賞に堪える笑いはどこにも見当たりません。
「焦点」もコン平がたい平になり、司会が談志、円楽、歌丸と変わるにつれて
レベルダウンしてきました。さんまや吉本に至っては・・・。

森繁の唄がまたペーソスに溢れて素晴らしく、私の父も大好きでレコードを
買ってきたものですから、残らず覚えました。「銀座の雀」「荷物片手に」
「青葉の笛」「水師営の会見」「橘中佐」「麦と兵隊」「船頭小唄」等々。
「知床旅情」のはるか以前です。

森繁さんの死によって、彼の作品がいろいろ見られるようになるかも知れない
ことだけが少し楽しみです。
by nakayanh | 2009-11-13 01:14 | ニュース